高級ブランド店が軒を連ねる都内の大通り、私を含む戦闘員は押しかけていた。所謂強盗ってやつだね。
んー、久しぶりの出動だからちょっとだけテンションが上がる。
こんな風にテンションが上がるあたり、私も十分悪に染まっているようだ。それが良いことかどうかは知らない。
「そこまでだ! メノス!」
……もうハートレンジャーの連中が来たようだ。全員が変身した後、ハートブルーがロボットへ手を伸ばす。……確か他の戦闘員の話によると、あのロボットはジュテームの手によって無効化されたって聞いたけど……。
私はどうもジュテームのお陰とは思えないんだよね。だって、あいつX城に戻ってきてから挙動不審だったもの。
という私の疑念は的中した。……どうやら向こうの不調を自分の手柄にしたようだ。あのバカ……。
絶好調に動くロボットの拳によってジュテームの顔面はボコボコにされる。いや、個人的にはそれを眺めているのは滑稽で楽しいけど……。
「戦闘員! 今すぐ私を助けなさい!!」
……一応私も戦闘員だし、助けに行くか。めんどいなぁ。
とは思ったものの。ジュテームの元へ向かおうとしても既に分裂をしたロボットが私の行く手を阻む。
複数のロボットからの攻撃を何とか避けるけど。……おい、いくら何でも……無理だっ。せめてこの恰好じゃなきゃもっと素早く動けるのに……っ。
こうやってもたもたしているうちにハートブルーがジュテームの傍へ。
「戦闘員を排除したスーパージャストマシンロボは消滅命令を中断し、ターゲットをジュテームへ変更。奴が盗んだ額だけ身ぐるみを剥がせ」
……えっと、何か聞き捨てならない言葉が聞こえた。ロボットはジュテームへ一直線に向かっている。これなら、邪魔をされずにジュテームの元へいける!
「そんなこと、させない!!」
私は、ジュテームを抱きしめる。ロボットたちは突然の行動に固まってしまいどうやらブルーの命令を待っているようだ。……やべ、この恰好で普通の言葉喋っちゃった。
うげー、X様に知られたら仕置きされる。……今はそんな事どうでもいい。
「……君は」
「しがない戦闘員その1!」
戦闘員がこんな風に喋るとは思っていなかったのが疑問を持ったブルーの言葉に私はそう告げる。
「本当は、こんな風に口を利くのはタブーなんだけど。流石に無視できないからね」
「……白雪?」
私の名前を呼ぶ変態は無視し、ハートブルーと向き合う。
いくら変態でも、全裸は洒落にならないもの。大体そんな完全に変質者の男を……恋人と認めるのは私のプライドが許さない。
……この恰好で話すのもあれだな。
私はマスクを脱ぎ捨てる。急いできたから地味に暑かったんだよね。
しかし、服装は変わりようもないし……。あ、これはこれで酷い羞恥プレイだ。
「……女?」
「やだ、声聞いてわかってよ」
それともあれか、私の声はそんなに低いのかな? 結構高い声だと自負しているのだけど。……いや、マスクで籠ってそこまでわからなかったのか。そうだと思いたい。
「……まあいいや。別に戦闘員の中身が女であろうとどうでもいい話でしょ?」
「それもそうだ。……邪魔だどけ」
「悪いけど、それは無理」
私たちは完全にロボットに囲まれている。どう見ても勝てるわけがない。……ハートブルーに口で勝つ以外は。……無理だろ。…………ああ、もうどうにでもなれ!
「私たちに勝とうと言うのか?」
ブルーが右手に持っている銃を私たちに向ける。おお、怖い。そう思いながらも私は一歩前へ出る。……ロボットたちは私たちの様子を見守っている。
「それも無理だね。だけど……もし、ここで私が大声できゃー痴漢、なんて叫んだら、どう?」
その右腕がピクリと動く。……いけ、るかわからないけど!
「私の叫び声はこの喧騒にかき消されるかもしれない。でも、ウルフならきっと気づいてくれる。それで、聞こえた方角を見れば確かに私がブルーに襲われているように見える。……周りにいるロボットたちがジュテームを隠しているから」
ブルーは右腕を下し私の言葉に静かに耳を傾けているようだ。
「それに私のマスクは脱げているわけで……はたから見れば本当に襲われているように見える。それが偽りでも、ね。
さて、不名誉なレッテルを一時的にでも貼られてまで手に入れるほどの価値のある衣装かな?」
本当は何も言わずに痴漢と叫べばよかったんだけど。私にだって良心の欠片くらいある。
……というか、このアホの変態の所為で不名誉なレッテルを貼られてほしくないだけなんだけど。
「……わかった、ジュテームの身ぐるみを剥がすのは止そう」
「そう、それは良かった。……どうせ今回も勝てそうもないし、ここは逃げさせてもらうよ」
ぼけーと私たちの会話を聞いていたジュテームを蹴り倒す。
「うぐっ……白雪急には……っ」
「うるさい! ……帰るよ、向こうもボロボロみたいだから」
脱ぎ捨てたマスクを拾いながらダークとウルフがいる先をみると、二人ともボロボロのボロ雑巾みたいになっている。周りにいる戦闘員も同様だ。全く散々だね。
「とんだ厄日すぎ……全部アンタの所為だ」
「私は何も……」
「ああ、ホントいろんな意味で何もしてないよね」
ハートブルーが見逃してくれている間に私たちはダークとウルフの元へ。ああ、もちろん向かう途中にマスクをしてね。
「きゅーん」
「ダーク殿、ウルフ殿。今回は退きましょう。こんなにボロボロでは勝ちようがありません」
「……せやな、オドレらX城へ戻るで! 次こそはワイらが勝つ!!」
「覚えていろよ、ハートレンジャー!!」
実によわっちそうな悪役の捨て台詞を2Xが述べた後私たちはX城へ戻る。
はあ、メノスの完全勝利はまだまだ先の話になりそうだ。
本当は最後にいちゃいちゃ(笑)させる予定が狂った。
長々とここまで書いて最後にそんな事されても何というか、取ってつけた感が満載だよね
っていうことで無理やり終わらせたー。
……これ、夢小説じゃねえ、ってことでサイトには載せずこっちに。
折角書いたからお蔵入りするのもなって思って。
不憫なジュテームも好きだけど、たまにはこういうのもいいよね。
本当は痴漢!! って何も言わずに叫ぼうと思ったんだけど
青山さんを不憫な感じにさせたくなくて……これジュテだったら容赦なく言ったんだけど。